「なぜ、微分積分を勉強しなければならないの?文系に進めば、そんなもの学んだって、何の役にも立たないじゃない」と、子供から訊かれて、あなたはどう答えますか?という文章で始まる。著者は「リング」「らせん」などのホラー小説を書いている鈴木光司さんです。鈴木さんは作家になる以前に、塾の講師や家庭教師をしていました。そして、自分の娘たちにも勉強を教えていたそうです。
私自身が思うに、「役に立たないから勉強しない」というのは短絡的すぎるのではないでしょうか。微分積分も必要だから考え出されたのであり、微分積分がないと現在の人類の未来はなかったでしょう。しかし、自分も大学生のときは「哲学」というものに意味があるのかどうかもわかりませんでした。理系だったので文系の科目にあまり興味が持てなかったというのもあります。しかし、この本を読んでみて哲学も科学と密接に関係があることを思い知らされました。以下、引用。
たとえばカントは、人間の認識の中にある「アプリオリ」なもの(生まれたときに既にもっていたもの)は、どのように成立したかと考えました。しかし、カントの生きた18世紀には、このような問題は神にかかわるものであり、神は人間の経験を超えた存在である以上、これを論じることはできないと、判断を保留したのです。判断を中止することを、哲学用語では「エポケー」といいます。
しかし、時代は進み、科学文明が発達すると、かつては神の領域にあったものに対して、光が当たり始めます。人間の認識の中にある「アプリオリ」なものの形成が、進化論、遺伝学、分子生物学、動物行動学、量子力学、相対論、言語分析など、科学的な手法によって、ある程度明らかにされてきたのです。ですから、科学を知ることなしに、人間の本性を考えたり、哲学を論じるのは不可能ともいえます。ギリシャ時代から、哲学者はイコール物理学者、数学者でもあったのですから、考えるまでもなくこれは当然のことなのです。
鈴木さんは、自分の娘たちに勉強する意味を徹底的に教えたといいます。
さらに、この能力は、小金を稼ぐためにのみ役立てるべきではありません。社会に貢献し、人類が進歩するための貴重な一助となるためにこそ、能力をたかめなければならない
自分も微力ながら、社会に貢献できればよいなと思っております。
ソフトバンククリエイティブ (2006/12/16)
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