日蝕 平野啓一郎

平野 啓一郎
新潮社
発売日:2002-01

主人公が見たものは、自分のシャドウ(影)だったのではないか。自分は修道僧であるが、禁忌となる錬金術にふれ、アンドロギユノスに出会う。
 自分は修道僧で、その禁忌を犯すことはできないが、犯してみたい。そんな葛藤があるのではないか。主人公はずっとシャドウに犯されるのだろうか。それとも、またいつか禁忌を犯してみたいと思ってしまうのか。そこまではわからない。

 なぜ、このような文体になったのかは不明。思想的なものは感じられなかった。

ハウルの動く城

宮崎駿
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
発売日:2005-11-16

ソフィーはなぜおばあさんになる呪いをかけられるのだろう。最初はおばあさんになる理由がわからなかった。ソフィーを旅立たせるためというのもあるのだが、後にハウルの母親役になったり、マルクルの母親役になったり、カルシファーを手名づけたりしている。ソフィーはヒロインで主人公でもあるが、グレートマザーの役割も果たしていることがわかる。
 もう一つ疑問に思うのは、ソフィーが簡単に旅に出てしまうことである。大抵の主人公は旅立つことを拒否するものであるが、ソフィーはためらいもなく旅に出てしまう。
 すでに自分の使命がわかっているかのような旅立ちである。最初からハウルを助けることが、自分の使命であることを無意識が知っていたのであろうか。その後、誰に頼まれるでもなく掃除婦をしていることも主人公の積極性がある。主人公が主体性を発揮しているのは、おばあさんになっているのからなのか。後半は性格がナウシカに似ていると感じた。