コクリコ坂から

先週、コクリコ坂からを観てきました。

1960年代のノスタルジー、海と俊の恋愛を描いたストーリー、
そして、カルチェラタンの取り壊しという新しい時代に生まれ変わることへの抵抗。

この映画は、はっきり言えばバランスがいい。

ノスタルジーも味わえつつ、ラブストーリーで胸が締め付けられるような、甘く切ない感覚も味わうようなこともできる。

そして、時代の体制に抗うような思想的背景など。

だから、若者から50代、60代の人が見てもおもしろいと思う。
(そのわりに、お盆の休日で映画館はすいていたが)

確かに今までのジブリという作品からすれば系統が違う。今までのジブリ作品はファンタジーという要素が取り入れられていた。悪く言えば子供向けってことだ。もちろん大人が見てもおもしろいのは言うまでもないが。

この映画は徹底したリアリティ。

いきなり主人公が朝、眠そうに起きて朝食の支度をしだす。

これから、非日常が起こるという予感さえも感じられない。

リアリティという意味では、なぜか海の方から俊に告白してしまうのだが、
この時代に女性からの告白というのが描かれているというのが、ちょっと違和感が残る。なぜか、そこは現代風なのだ。

そう言う意味でいうと、俊は草食系男子の走りだったのだろうか。

ということは海ちゃんは肉食系?(いや~ん><)

エンターテイメントとして映画で観る価値があるのかと言われれば、「DVDでも十分じゃない」ということないなるのだろう。

しかし、でもあえて映画で観ることもいいのではないかと思う。
(1800円という値段はどうにかしてほしいと思っているが・・・)

海の甘く切ない感情をもらって帰れたことが、自分の心にあたたかいモノをもらったような気にさせてくれる。

気にさせられたというのが正しいのかもしれない。

そして、最後に自分の心は汚れてしまったのだと感じるww

宮崎駿に学ぶ部下の育て方

部下や後継者を育てるのは大変なことですね。育成は早く、簡単に、効率的という言葉に縁がないのではないでしょうか。

実は、あるところでも後継者育成に苦心していました。

それは、なんと・・・・・・スタジオジブリ!

今週のNHKで放映されたので見た人もいるのではないかと思います。

ジブリ 創作のヒミツ 宮崎駿と新人監督 葛藤の400日

宮崎駿さんは69歳です。本人曰わく、もう監督ができるのはあと1本だろうということです。
しかし、宮崎駿の後継者になれるような人は、今まで聞いたことがありません。

そこで、現在公開中の「借りぐらしのアリエッティ」は37歳という若いアニメーターの米林宏昌(通称マロ)さんにすべてを任せることになったのです。

マロさんに任せるにあたり、宮崎さんはあることを決めました。

「いっさい口出しをしない」

それは宮崎さんの節度だといいます。監督は自分自身で決めてOKを判断する。それに口出ししてはいけないと。

宮崎さんは、マロさんが考えた絵コンテを見ませんでした。
そのことにスタッフは動揺を隠しきれない様子でした。
本当に大丈夫なのか。制作費数十億円の映画がこけたら、世界のスタジオジブリの名に傷がつく。

しかし、それを一掃したのは宮崎さんがスタッフ一同を集めて説明したときでした。

「自分は絵コンテをいっさい見ていません。マロにすべてを任せます」

そのときスタッフは、もうマロさんについていくしかないんだ。自分たちでやるしかないんだと思ったことでしょう。

宮崎さんがここまで思い切った後継者育成に乗り出すには訳がありました。
宮崎さんは以前も監督を任せることをしてきたのですが、自分のこだわりから現場に介入して、衝突することもしばしばだったといいます。
宮崎さんの後輩に、近藤喜文さんというアニメーターがいました。近藤さんは映画「耳をすませば」の監督をされた方です。
近藤さんが監督をしていたときも、宮崎さんは演出方法で近藤さんと幾度も衝突したといいます。そして、ときには強引に演出を変更させたのでした。

もともと病気がちだった近藤さんは、映画完成の2年後に病気でなくなりました。
その時のことが、今でも宮崎さんの心にしこりを残していたのです。

最初は、慣れない様子で監督をしていたマロさん。自分で原画をチェックしながら進める方法は大幅に進行が遅れていました。それでも、予定通り映画を完成させることができました。

宮崎さんは、アリエッティの完成試写を見たとき涙していました。
そして、試写が終わってから宮崎さんは、マロさんと堅い握手を交わし、マロさんの腕を高々と上げて言いました。

「本当によくやってくれました」

初監督のマロさんにねぎらいの言葉をかけたのです。
マロさんは満面の笑みを浮かべていました。

宮崎さんは、初めての監督するマロさんに言いたいことは山のようにあったと思います。それをすべて喉の奥に飲み込んで、最後にねぎらいの言葉をかける。
宮崎さん自身が後継者育成に苦慮してきたことからの成果ではありますが、徹底して自分の決めたルールを守る。これはなかなかできることではありません。
こうしたことがあってこそ、マロさんは監督という重圧をかかえながら期待に応えることができたのでしょう。
試写会が終わった後は、師弟の新しい空気が流れていました。

人が成長する姿というのは、本当に美しいと思います。